​『気づかれなくても、生きている』


涙になれない悲しみが
喉の奥で 氷の塊になっている。


溶かし方も 吐き出し方もわからなくて
ただ 重たい沈黙を飲み込み続けた。


「泣ける子はいいな」


その言葉さえ 声にはならず
泡のように弾けては 消えていく。


叫びたい夜ほど 世界はしんと静まり返って
私だけが 透明な檻の中にいるみたいだ。



いいんだよ、声が出なくても。


言葉にできないその苦しさは

弱さではなくて あなたが懸命に

心を、自分を守ってきた証だから。



誰かの理想になれなくていい。

期待に応えられないままのあなたで、
今日をここまで繋いできた。


それは どんな正解よりも尊いこと。


今はただ 深くなくていい。
浅い呼吸をひとつ、重ねるだけでいい。


吐き出した息が 少しだけ熱を持っていたら
それが あなたが生きている温もり。


頑張れ、と言わない代わりに
「おやすみ」を。


許せない自分を、今日だけは
暗闇の端っこで そっと眠らせてあげよう。

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