無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される
「俺は結婚してるんだぞ。妻でもないお前が気安く触れるな」

「な……っ」

「それと浄化の件はご苦労だった。では悪いが早く真白と二人きりにしてくれ」

(え?)

二人の傍で下女のように一歩後ろに下がって、顔を畳に向けていた私ははっと顔を上げた。
話の流れから彩芽様とおでかけになられるかと思っていた私はその言葉に内心戸惑う。

「無能……じゃなくて真白さんと? 一体なんのお話ですの?」

彩芽様の手が再び千隼様の肩に触れた時だった。その手を雑に振り払うと、千隼様は冷たい眼差しを彼女に向けた。

「夫婦の話だ。彩芽には関係ない」

「……っ」

「早く出て行ってくれ」

彩芽様は顔を真っ赤にするとすぐに部屋から出ていった。二人きりになった私はすぐに千隼様の足元に膝をついた。

「旦那様、お勤めご苦労様でした。無事のご帰還、心から嬉しく思います」

「……顔を上げろ。堅苦しいことをしなくていい」

「でも……」

「それより、言っただろう。真白に話がある」

千隼様は制帽をとると脇に抱え、私の目の前に腰を下ろした。

「真白、あと三か月でお前を自由にする」

「え……? それは、どういう意味でしょうか?
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