無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される

第2章 真白の隠された力

※※

私は夢を見ていた──ずっと昔、私が八歳の頃のこと。力が発動せず“無能モノ”と呼ばれ始めていた私はよく母の墓の前で泣いていた。

墓は母の希望で春になると桜が満開になる山の外れに建てられていたが、鬼が棲む森と距離が近くいつも人気はない。
だから辛くなるとここへきて思い切り泣いた。

その日は、父が引き取った姪が僅か五歳で浄化師としての力を目覚めさせてことに喜び、屋敷で祝いの儀を開いていたのだが、めでたい日に無能モノの私がいると水を差すと屋敷を追い出されたのだ。

『お母様……っ、もうお母様のとこにいきたい……』

一度零れた涙は止まらず墓石には水玉模様が無数に広がっていく。

『──グルルルル、うまそうだなぁ』

『え?』

振り返れば額から三本の角が突き出た鬼がよだれを垂らして立っていた。

(角が……三本、三本鬼(さんぼんおに)!)

鬼は角の数でその邪悪さが違う。角が二本までは言葉を話せず四足歩行をするが、三本からは二足歩行をし、人間の言葉も話す。

鬼は角が一本の一本鬼(いっぽんおに)から七本鬼(ななほんおに)までが存在し、その鬼たちの長が“鬼童子”だ。

(一本鬼くらいなら、私の足でも逃げられるけど……三本鬼なんて無理だわ……)
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