無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される
涙はすぐに止まり、恐怖から体中が震えだす。母の元に行きたいなどと願ったからだろうか。

(怖い……、でも鬼に食べられれば天国に行ける……?)

鬼が勢いよく駆けてくるを見て私はぎゅっと目を瞑った。

『ぎゃぁあああああ』

(え?)

鬼の断末魔の叫びが聞こえて、恐る恐る目を開ければ、鬼が逃げていき目の前に立っていた男の子と目があう。

『大丈夫か?』

赤い瞳をもつ私より少し年上にみえる男の子は私の前にしゃがみ込んだ。

『はい……』

『ここは夜は鬼が出やすい。もう家へ帰れ』

『今日は……事情があって帰れないんです。明日、帰ります』

そう言ってから、私ははっとする。男の子の腕から血が滲んでいたからだ。

『ごめんなさい、私のせいで血が……』

『かすり傷だ、問題ない』

『いえ、ちょっと待ってください』

すぐに自分の着物の裾を破き端切れにすると腕に当てて止血する。ぐっと手を押し当てて傷を圧迫すればすぐに血は止まった。

(良かった……傷は浅そう)
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