甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
時計の針は、十二時半を指している。

野々花も午後から別の用事があると言っていたので、そろそろ解散になるだろう。

「澪花、今日は本当にありがとうね」

「ううん、こちらこそ。素敵な花を飾るから、楽しみにしていてね」

「もちろん! 結婚式当日は、野々花と空雅さんも参列してくれるんだよね?」

「うん、メインテーブルもブーケも式が始まる前に飾り終えるから。ただ撤収作業があるから、色々バタバタしちゃうかもだし、二次会には参加出来ないけれど……」

「結婚式に参列してくれるだけで充分嬉しいっ。当日のドレスも楽しみにしててね! 圭太も珍しく着飾るから」

圭太さんが笑いながら「珍しくは余計だろ」とツッコミを入れたのを、野々花はまるでそう返すことが分かっていたように笑っている。

まるで以心伝心しているような二人に、つい「夫婦になるってすごいなぁ」と思ってしまう。

そんな余韻に浸ったまま結婚式場をあとにする。

そして、そのままその感情を隣を歩いている空雅くんに打ち明けてしまう。

「野々花と圭太さん、仲良しだったね」

「新婚ですからね」

野々花と圭太さんは結婚式こそ五月の三十日だが、籍は既に桜の時期に入れたと話していた。

空雅くんは私の話に相槌(あいづち)を打ちながら、話しやすいように少しだけ歩くスピードを落としてくれる。
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