甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
「空雅くん、なんでもういるのっ!?!?」

「待ち合わせの時間から考えて、澪花さんならこの時間のバスで来ると思ったので、一本前のバスで来ました」

「なんで一緒のバスで来ないの……!?」

私のそんな至極当然(しごくとうぜん)な意見は、空雅くんの嬉しそうな笑顔で発せられる一言に打ち消された。

「だって、バス停で待ち合わせってデートっぽいじゃないですか。まぁ、実際デートですけど」

ニコニコと嬉しそうにそう言う空雅くんは、分かりやすく浮かれていて。

私は本当は今日空雅くんとデート出来るのが嬉しかった。

ううん、デートという言葉じゃなくても良い。

今日、空雅くんと遊べるのが純粋に楽しみだった。

私と空雅くんがこれから契約結婚するとか、仮初の夫婦になるとか、そんなことは一旦置いておいて。

折角なら今この瞬間も、これからの結婚生活も楽しみたい。

きっとそれは空雅くんも一緒なのだろう。

「ふふっ、空雅くん子供みたいに浮かれている」

「あ、また俺を子供扱いして……」

空雅くんが言い返そうとした言葉を遮るように私は口を開いた。


「してないよ、だって私も浮かれてるもん」


「っ……!」


空雅くんの耳が赤く染まったように見えるのは、初夏の暑さのせいだろうか。
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