甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
「ていうか、空雅くんって運転免許も車も持ってなかった?」

「持ってますよ?」

「持ってるのに、バスで来たの?」

「だって、澪花さん。俺が車で迎えに行ったら気を遣いそうじゃないですか。だから、一緒にバスで来ようと思って」

「…………」

「澪花さん?」

「いや、空雅くんって格好良いなぁと思って」

「っ!? 急になんですか!」

だって、車で迎えに来てもらうのだって嬉しいけれど、一緒にバスに乗ってくれるなんて最高じゃないか。

どっちが良いとかじゃない。

私はこっちの方が嬉しいと、空雅くんが私のことを考えてくれたことが何より嬉しい。

「で、空雅くん。今日はこんな場所まで来て、どこに行くの?」

「澪花さんの喜ぶ場所です。さぁ、澪花さん問題です。今の季節の花は?」

「え……突然どうしたの? えっと、紫陽花(あじさい)花菖蒲(はなしょうぶ)でしょ? それにバラ。ラベンダーもそうでしょ。そろそろユリも可愛いよね。それに……」

「わー! ちょっと待って下さい、ストップ! 澪花さんが花を好きすぎることを忘れていました……」

「あははっ、これでも花屋ですから」

「じゃあ、問題を変えます。今から行くのは、何が咲いている場所でしょう?」

「え……」

空雅くんが笑う。
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