嘘から始まる恋煩い!

東雲海里

五十嵐を振り向かせようとするも、その方法が思いつかずあっという間に1週間が過ぎた。
………時間が過ぎるのは早いな。
高校の授業にも慣れてきて、私は今体育の授業を受けている。
今年やる種目は陸上、サッカー、そして卓球ならしい。どれも私の得意分野で胸が躍る。
水泳とかバレーボールだったら泣いてたなぁ。
そう思いながら、私はラインの先頭に立つ。今は陸上の授業で、50m走のタイムを計るときなんだ。
今ではないにせよいずれ成績として評価されるので、全力で走ろう。
「位置について、よーい…ドン!」
その声とともに、私は走る。
素早く風になったように動いていると、ふいに私のポケットが振動で震える。

……あ、この感覚、デジャブ。

じゃなくて!今はとにかく走らないと。

少し遅れたかなと思ったけれど、タイムは以前より縮んでいて7.7だった。
よし、順調。そして授業中にもかかわらずメッセージを送ってくるこの遠慮知らずなやつは……。
案の定、アイツだった。
「今来れる?」

本来スマホを授業中使ってはいけないという規則を、心の中でごめんなさいと謝って破らせてもらう。
「わかった、行く。」
そうすばやく打ち、私は体育の先生のもとに近づいた。
「あの、水飲みに行ってもいいですか?」
「え?ああいいよ、どうぞいってらっしゃい。」
ああ、授業をさぼってしまうことになってごめんなさい、先生。
でも私の番はさっき終わったし、今日やることはみんなのタイムを計るだけなので許してください。
こういうとき、出席番号が早い自分は有利で助かる。すぐに順番回ってくるもん。

そんなどうでも良いことを考えながら、私は「あの場所」へと足を進めた。
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