悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
プロローグ


「嘘ばっかり。私が離れていくように、そんなこと言うんですか──」


 言葉尻は、再び塞いだ唇の内側に消えていく。

 こんなことを言われるなんて、もう彼女に見透かされている証拠なのかもしれない。

 腹立たしいが、それが狂おしく愛しい。

 息の根を止めるような口づけに呼吸もままならない彼女は、いつもの凛とした姿を見失ったように弱弱しい。


「後悔しても、もう逃がしてやらないぞ?」


 最終確認を取りながらも、ここでやっぱり帰ると言われても素直に解放してやれる自信がない。

 大きな目をわずかに潤ませて、小さくこくりと頷く姿に完全に理性が崩壊した。

 細くしなやかな体を抱き上げながら、必死に自制に努める。

 照明もつかない薄暗いベッドの上、再び口唇を合わせる。

 意識を逸らしてブラウスのボタンを外しながら、生まれて初めての高揚感に自分自身が困惑していた。

 こんな風に昂るなんてどうかしている。

 自身を否定してみても、彼女を堪らなく欲していることはもう否定できない。

 白く透き通る肌に口づけ、甘い悲鳴に酔いしれていた。

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