悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
翌日、土曜日。
仕事はカレンダー通り土日祝日が休み。出張や特別な取材など例外もあるけれど、基本は休日となっている。
兄は午後から一般病棟に移れると聞いていたため、夕方十六時過ぎに水瀬世田谷総合病院へと足を運んだ。
「おお、美優。来てくれたのか」
知らされた病室を訪れると、兄はひとり部屋に入院していた。
取り立てて広い個室ではないけれど、手術直後というのもあり配慮されているのかもしれない。
ベッドに横になっている兄は普段よりは弱弱しいものの、私の訪問に笑みは浮かべている。
「昨日も来たよ。お母さんから連絡あって、ビックリした。緊急手術なんていうからさ……体調は落ち着いてるの?」
「ああ、なんとか」
「そっか、ならよかった。お母さんたちは? もう来たの?」
「二時くらいに来て、必要なものとか買ってくるって一旦帰ったよ」
思った以上に会話もできて改めてほっとする。これも、迅速な判断と治療をしてもらえたおかげだ。
「でも、よかったね。すぐに救急搬送されたのもだし、オペもさ、迅速にしてもらって」
「ああ、そうだな。もしいろんな判断が遅れてたら、今こんな風に話せなかったかもしれないしな」
「うん、そうだね」
ベッドサイドのパイプ椅子に腰をかけて話し始めたところで、個室の入り口扉がノックされる。
兄の代わりに「はい」と返事をすると、「失礼します」と女性の声が聞こえた。