響け!涙のペザンテ
ゾフィーは恥ずかしそうに目を伏せた。

アルベルトには三人の子どもがいる。長男のヴィルヘルム、次男のエミール、そして長女のゾフィーだ。

「それで?何故、探偵であるあなたがここに?」

冷ややかな声でヴィルヘルムがレオンハルトの方を見る。レオンハルトが答えるよりも先に、ロヴィスが汗を拭きながら言った。

「レオンハルト様に来ていただいたのは、探偵である彼ならばこの遺言書のことも何とかしてくれるのではと思ったからです」

「この遺言書は悪戯の類ではありません。複雑な魔法がかけられていて、アルベルト様の求める答えに辿り着けない限り、相続状などを受け取れないようになっています」

レオンハルトがそう言うと、大きな舌打ちが聞こえた。エミールが放ったものである。

「あのクソ親父。余計なことしやがって」

わざとらしく大きな足音を立て、エミールは応接室を出ていく。その後ろ姿を見て、ゾフィーが軽蔑するかのように「最低」と呟いた。
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