妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「……落ち着いたか?」
どれくらい時間が経ったのだろうか。
私が泣き止んだ気配を察したリュオンが抱擁を解いて一歩下がった。
「ええ。ごめんなさい」
ハンカチを取り出して目元を拭った私はそのまま俯き続けた。
声がかすれるほど泣いたおかげか気分はスッキリしているけれど、こうして冷静になってみると、恥ずかしくて居た堪れない。
子どものように泣いてしまった上に、抱きしめられてしまった。
泣き腫らした私の顔はきっと赤く染まっている。
とてもリュオンに見せられる状態ではなかった。
「謝るようなことじゃない。泣くことで少しでもセラの気分が晴れるなら、この先いくらだって付き合うよ」
大真面目な調子でそんなことを言われたものだから、私の顔はますます赤くなった。
「もちろん泣くようなことがないのが一番だけどな。そこで一つ提案があるんだが。おれが紹介するから、セラもエンドリーネ伯爵に仕えないか? 近くにいればおれがセラを守れる。万が一ブランシュ家から追っ手が来てもおれが全部追い返してやるよ」
「き、気持ちは嬉しいけれど。伯爵は魔女でありながら何の魔法も使えない私を受け入れてくださるかしら。侍女の数ならもう足りているんじゃ……」
「伯爵は慈悲深いお方だ。セラの事情を知ればきっと力になってくれる。その代わり、セラも力を貸して欲しい」
「力を貸す……?」
単純に侍女として求められるのとは違うらしいということを感じ取って、私は俯き加減のまま、上目遣いにリュオンを見上げた。
「伯爵の長男――ユリウス・エンドリーネは少々訳ありでな。いまは引きこもり状態なんだ。おれが主人の事情を勝手に話すわけにもいかないから、詳しくは伯爵かユリウス本人から聞いてくれ」
どれくらい時間が経ったのだろうか。
私が泣き止んだ気配を察したリュオンが抱擁を解いて一歩下がった。
「ええ。ごめんなさい」
ハンカチを取り出して目元を拭った私はそのまま俯き続けた。
声がかすれるほど泣いたおかげか気分はスッキリしているけれど、こうして冷静になってみると、恥ずかしくて居た堪れない。
子どものように泣いてしまった上に、抱きしめられてしまった。
泣き腫らした私の顔はきっと赤く染まっている。
とてもリュオンに見せられる状態ではなかった。
「謝るようなことじゃない。泣くことで少しでもセラの気分が晴れるなら、この先いくらだって付き合うよ」
大真面目な調子でそんなことを言われたものだから、私の顔はますます赤くなった。
「もちろん泣くようなことがないのが一番だけどな。そこで一つ提案があるんだが。おれが紹介するから、セラもエンドリーネ伯爵に仕えないか? 近くにいればおれがセラを守れる。万が一ブランシュ家から追っ手が来てもおれが全部追い返してやるよ」
「き、気持ちは嬉しいけれど。伯爵は魔女でありながら何の魔法も使えない私を受け入れてくださるかしら。侍女の数ならもう足りているんじゃ……」
「伯爵は慈悲深いお方だ。セラの事情を知ればきっと力になってくれる。その代わり、セラも力を貸して欲しい」
「力を貸す……?」
単純に侍女として求められるのとは違うらしいということを感じ取って、私は俯き加減のまま、上目遣いにリュオンを見上げた。
「伯爵の長男――ユリウス・エンドリーネは少々訳ありでな。いまは引きこもり状態なんだ。おれが主人の事情を勝手に話すわけにもいかないから、詳しくは伯爵かユリウス本人から聞いてくれ」