妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「お帰りなさいませ、リュオンさん」

 大して待つことなく重厚な扉が開き、黒髪をポニーテイルにした侍女が現れた。

 膝丈の黒いドレスにフリルのついた白いエプロン。
 同色のヘッドドレスがエンドリーネ伯爵家の侍女の服装だった。

「そちらのお方は……?」
 侍女は私を見て不思議そうな顔をした。

「ただいま、マルグリット。彼女はセラ。おれの客人だ。伯爵はどこにおられる?」
「執務室でお仕事をされています」
「わかった。行こう」
「ええ」

 ここが正念場だ。
 私は覚悟をもってリュオンの後に続き、シャンデリアが吊り下がる煌びやかな屋敷に足を踏み入れた。

 衣食住を確保するために、なんとしてもエンドリーネ伯爵に気に入ってもらわなくては!
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