妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「イノーラも凄いわよねえ。蝶よ花よと育てられたおかげか、あの子は昔から我儘な暴君で、セレスティアのものは片っ端から奪っていったでしょう? でも、まさか恋人まで奪うとは思わなかったわよ」

「セレスティアもよく結婚式に出席したわよね。見てよあれ、笑ってるわ。信じられない。一体どういう神経をしているのかしら。案外この状況を楽しんでいたりするのかしら?」

「まあ。セレスティアには随分と特殊な性癖があったのね。奪われるのがお好みだったとは予想外」
「しっ、声が大きいわ。聞こえてしまうわよ?」

 クスクスと笑い声が聞こえる。
 彼女たちのように声に出さずとも、この場にいる全員の嘲笑を肌で感じていた。

 この国にいる限り、私は永遠に社交界の笑い者になるのだろう。
 美しく有能な妹に婚約者の王子を奪われた可哀想な姉だと。

 私は仮面のような笑顔を貼り付けて妹たちに拍手を送りながら決意した。

 ――パレードが終わったら家も国も捨てよう。

 全てを捨てて、この身一つで幸せになってみせる。
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