妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「仕方ないわよ。イノーラは《国守りの魔女》で、セレスティアは無能だもの。代々優秀な魔女を輩出してきたブランシュ家の恥よ。魔法が使えない魔女なんて何の価値もないわ」

 私はちらりと隣に座る両親を見た。
 私に聞こえているのだから、当然両親にも聞こえているはずなのに、両親が諫める気配はない。

 両親が熱心に見ているのは大勢の騎士に守られ、ゆっくりと大通りを進む馬車の上で手を振るイノーラの姿、ただそれだけ。

 母は絹のハンカチで目元を拭い、父は感極まったように目を潤ませている。
 隣で傷ついている娘のことなど一瞥もしない。

 この人たちは本当に私に関心がないのだということを痛感させられただけだった。
 私は一体、何度期待して裏切られれば気が済むのだろう。

「まあ酷い。でも、たとえイノーラと同じ神聖魔法が使えたとしても、クロード王子はセレスティアではなくイノーラを選んだでしょうね。イノーラのほうが遥かに華があって美人だもの。《国守りの魔女》と結婚したとなれば国民の求心力も得られるでしょうし、セレスティアよりイノーラのほうが良いに決まってるわ」

 ナイフのような言葉は私の心を抉り続ける。
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