妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
 ――さあ、私の出番だわ。

 国王と入れ替わりに白亜の城のバルコニーに進み出た私は、割れるような国民の拍手と歓声に応じてにこやかに手を振った。

 バルコニーの端っこではココや宮廷魔女たちが私を見ている。

 おあいにくさま、《国守りの魔女》の称号はこれからも私のものよ。

 私は女神に祈りを捧げる乙女のように両手を組み、目を閉じて長々と呪文を唱え、目を開くと同時に魔法陣を展開した。

 去年と変わらぬ大きな魔法陣を見た国民たちがどよめき、さすがイノーラ様と口々に私を褒め称えている。

 これよこれ!
 やっぱり私に相応しいのはこの光景よね!

 魔法陣に魔力を注ぎ込み、国民に向かって両手を広げるパフォーマンスをしながら風の魔法を発動すると、私の両足に巻きつけられたアクセサリーが強烈な赤い輝きを放った――って、え?

 全身から冷や汗が噴き出す。

 ちょっと待って、魔力増幅アイテムって効果発動中に赤く光るの!?

 私が着ているドレスは上半分が水色で、スカート部分は白いのよ!?
 赤い光はスカートの白い布地に透けて、ココたちに見られたわよね!?

「なんだいまの、イノーラ様のスカートが赤く光らなかったか?」

 げっ、国民が気づいた!?
< 46 / 56 >

この作品をシェア

pagetop