初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される

第1章 奪われた皇女、選ばれる花嫁

鐘の音が、城中に響き渡った。

それは祝福の音ではない。

耳を裂くような、不吉な響き。

「敵襲です! 城門が破られました!」

叫び声と同時に、外から轟音が響く。

壁が揺れ、天井の装飾がかすかに軋んだ。

私は玉座の間の中央に立ったまま、動けずにいた。

――ついに、この時が来たのだ。

燃え上がる炎の匂いが、風に乗って流れ込んでくる。

遠くから、悲鳴。

剣がぶつかる金属音。

「皇女様、こちらへ!」

護衛が駆け寄り、私の腕を取ろうとする。

だが私は、それを静かに振り払った。

「……いいえ」

ここで逃げるわけにはいかない。

私は、この国の皇女なのだから。

再び大きな衝撃音。

重い扉が、外から叩き破られる。
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