初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
兵士たちが雪崩れ込んできた。

見慣れない紋章。敵国の軍勢。

護衛たちはすぐに剣を抜き、私の前に立ちはだかる。

「ここは通さぬ!」

だが次の瞬間、鋭い刃が振るわれ、血が飛び散った。

「……っ」

思わず息を呑む。

次々と倒れていく護衛たち。

それでも彼らは、最後まで私の前に立ち続けた。

その背中が、ひどく誇らしくて――同時に、苦しかった。

「もういい」

ぽつりと呟く。

これ以上、誰かが倒れるのを見たくない。

私は一歩、前に出た。

兵士たちの視線が、一斉に私へと向く。

剣先が、こちらへ向けられる。

逃げ場はない。

分かっていたことだ。

この戦は、負けたのだから。
< 2 / 71 >

この作品をシェア

pagetop