敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「そこの棚。上から順番に下着、ワイシャツ、普段着、見てくれたらわかる。短パンとTシャツを出してくれ」

 仕事の時と同じように明確な指示がきた。そうなると同じように返事をしてしまう。

「了解です」

 服を出して渡すと、彼は上半身からおもむろに脱いで着替え始めた。

 今更ドキドキもしない。正直何度か見ていて見慣れているのだ。

 事務所に泊まり込みで翌朝着替えているのを見かけたこともある。

「痛いな……」

 下は着替えるのがつらそうだ。

「何か、お手伝いしましょうか?あ、でも……」

 言ってから後悔した。恥ずかしくなって目を反らした。

「ふっ……そんな顔初めて見た。怪我も悪くないな」

「え?」

「俺を男だと初めて意識してくれたんだろう?なあ、雪」

「な、な……!」

 高原は口をパクパクする雪を見ながら、にやりと笑った。

「ああ、そこのシャツを取ってくれ」

 雪がシャツを取って彼の膝の上に置いた。その瞬間、高原は雪の手を掴んだ。

「え、な、なんですか?!」

「いや。佐山の手ってこんなに小さかったんだな……ずっと側にいたが、あまり気にしたことがなかった」

 そして高原は雪を優しい笑顔で見つめた。雪は胸がいっぱいで何も言えなかった。いつの間にか手がはなされた。

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