敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「そうだ、部長が四時過ぎに今後の打ち合わせでこちらへ来てくれるそうだ。佐山も同席してくれ」

「……はい。でも私は一旦事務所へ戻りますね。チームに林さん一人じゃ大変ですから」

「海江田が先に切り上げて事務所へ戻るらしい。あいつと交換でこっちへ来てくれ。車を使えよ」

「近いから大丈夫です」

「雪、言うことを聞け!何があるかわからないし、危ないからそうしてくれ」

 雪は名前で呼ばれてびくっとした。

「名前を呼ぶと大人しくなるんだな。これからはやはり雪と名前を呼ぶことにしよう」

「な、な……!」

 雪の赤い顔を見て、高原は嬉しそうだった。

「帰りに持ってきてもらいたい資料もあるんだ。メールで指示する書類もだ」

「わかりました。じゃあ、お大事にしてくださいね。またあとできます」

「ああ」

(なんなの、どういうこと?彼が甘すぎる……まるで恋愛を始めたばかりの恋人同士みたい……)

 雪はドキドキする胸を抑えて急いで事務所へ向かった。

 * * *

 事務所へ戻ると、成美はひとりで打ちひしがれていた。

「お疲れ様」

「あーん、先輩。やっと帰ってきたあ……」

「どうしたの?」

「こういう日に限って電話も突然の来客もあるんです。私って本当についてないかもしれないです」

「大変だったね。海江田君が先に戻ってくるでしょ?」

「そうですね、今日の研修は切り上げて戻ってきます。二時過ぎになりそうです」

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