敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「……奈美。俺の周囲が危ないことはあのことでわかったはずだ。もうここには来るな」

「庇って大けがさせた。許嫁だし、責任を取って透君と結婚する」

「責任なんていらん。大体狙われていたのは俺だ。お前と結婚しないと前も言ったぞ」

「透君のことは絶対諦めない。そうだ、ビーフシチューも作ってきたのよ」

 結婚、許嫁というワードにぼんやりしていた頭が突如冴えた。

 何より驚いたのは、女性の名を高原が呼び捨てにしていたことだ。

 長い間彼の下にいるが、聞いたことがなかった。

「昨日から頑張って作っていたんだから、いらないとか言わないでね。奈美泣くから」

「はあ……わかった。それだけ受け取るよ」

「部屋にあげてくれないの?」

「だめだ。客が来ている」

「そう。それなら玄関先でいいから行く」

「いや、いい。すぐ取りに行くから待っていろ」

 ばたんと玄関のドアが閉まった。

 親しいのはよくわかる。甘えている彼女を許しているだけでも驚きだ。彼女は許嫁と言っていた。

 だから、周りに女性を置かないようにしていたのか。

 全く知らなかった。小西サブリーダーも知らないんだろう。

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