敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「え?」

 目の前に高原の顎が見えた。いわゆるお姫様抱っこをされていた。

「少し我慢しろ。部屋へ行く」

 高原はエレベーターに乗ると、雪を自分の部屋へ運んだ。

「あの、少し休めば大丈夫です」

「いいから黙ってろ」

 部屋に入ると、一番奥の部屋のベッドに運ばれた。

「ここは普段使ってない。客用の部屋だ」

「でも、あの……」

「いいから少し休め。命令だ」

 そう言うと、心配そうな目で雪を見つめておでこに手を当てた。

「熱はないか?いや、少し熱いような気がする。病院へ行くか?」

「だ、大丈夫です。あの、私のバッグに薬が……」

「ああ、持ってくる」

 バッグと水を持ってきてくれた高原は、雪の側に座った。

「何かあれば携帯で呼んでくれていい。リビング横の書斎にいる」

「チーフ、取材は?」

「何とかするから大丈夫だ」

「え、私を置いて行ってください」

 高原は雪の頭に手をやった。

「決めるのは俺だ。お前の方が大事なんだよ」

 そう言って、彼はドアを閉めていなくなった。

 しばらくして人の声で目が覚めた。

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