敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 大学病院から独立する際に恩師と思っていた人に利用された。

 周りはその人の利権に群がり、医療とは関係ない甘い汁を吸っていた。

 そのことを知った俺は、医学部入学を辞め、政治経済学部に入った。

 ジャーナリストになってこの世界の裏を暴いてやろうと息巻いた。

 そして、父の親友のところで学生時代から記者見習いになった。

 医療の闇を記事にしたのは、9年も前のことになる。

「透。いいか、勝手をするなよ。警告がきたからにはおとなしくしてろ」

「わかっています……」

 しかし、隠されると探りたくなるのがジャーナリストというものの性だ。

「お前、前から来ていた非常勤の大学講師の話をこの際受けてみたらどうだ?」

 晴海商事の元会長は現在大学の経済学部の教授だ。

 俺を気に入り、晴海商事の専属記者にした人だ。

 彼が新しく作るジャーナリスト養成学部の講師にならないかと一年前から誘われていた。

「社長。これを機に俺を捨てたいんですか?」

「そういうことじゃない。隠れ蓑って言葉を知らんのか?」

「隠れますよ。例の件は氷室商事のほうから片をつけてもらいます」

「何だと?」


 
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