敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「ご褒美?」

「『財閥の明日』の下調べと取材を担当した佐山を評価して推薦した」

「……」

 雪はバグの起きたゲームのように止まった。

「おい、どうした?佐山?何固まってるんだ」

 目の前で手を振る上司。

「推薦したって言いましたか?ご褒美?」

「言ったな」

「チーフが私を推薦した?」

「そうだ」

「イレギュラーなことに驚いた身体が突如バグりました。すみません」

「あっはは……せいぜい頑張ってくれ。推薦した俺の顔に泥を塗るなよ」

「はい」

 高原のいる打ち合わせ室を出ると、佐貫部長から声をかけられた。

「佐山、聞いたか、氷室商事の件」

 雪は部長に満面の笑みで頭を下げた。

「はい!ありがとうございます。頑張ります。引継ぎなどよろしくお願いします」

「うん。期待してるから頼むぞ。氷室商事と一緒にうちも新しい時代へ入る準備をするぞ」

「はい」

 嬉しかった。念願の大企業しかも国の二大商社のひとつだ。

「とりあえず、インタビューの予約を秘書室へ取っておけ」

「はい!」

「それと、デモの推敲は高原に任せてある。最後は俺も見せてもらうつもりだ」

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