敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「同姓がいるなんて知りませんでした。もしかして他の課から来るんですか?」

「うちに佐山はひとりしかいない。佐山雪。お前ひとりだ」

「ええー!む、無理です」

 高原は首を傾げた。

「部長がどうして佐山を選んだんだと思う?」

 雪は深呼吸して考えた。高原は面白そうに見ている。

「理由はふたつです」

「ほう」

「ひとつはチーフが忙しすぎて受ける余裕がないこと」

「……」

「もうひとつは……」

「もうひとつは?」

「私に任せてもいいと部長が私を認めて下さったからです!やったー!」

 雪は勢いよく椅子を倒して万歳しながら立ち上がった。

「相変わらず前向きで何よりだ。でも不正解」

「む。何が違ってるんですか?」

 雪は口をとがらせて高原を睨んだ。

「お台場の件もあり、氷室の担当は嫌でも晴海担当の俺と絡む。だから皆やりたがらない」

「それ嘘です。勉強になるからやりたい人も多いはずです」

 笑っている。何が言いたいのかわけがわからない。

「それでもやりたいと言うドングリを部長と比べていた。最後に俺が佐山を推薦した」

「私をですか?」

「ご褒美だ」

< 7 / 100 >

この作品をシェア

pagetop