悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~





「ただいま〜」


ボクシングジムから家に帰る頃には、既に空は真っ赤に染まっていて。

俺は水を飲むためキッチンへ向かうと、ダイニングテーブルで寝ている莉子の姿を見つけた。

テーブルにはノートやら教科書やらが広げられていて、他にも答案用紙が転がっていた。

おそらく、宿題をやっている途中で力尽きたのか。
答案用紙を見ると、中身はまだ真っ白で、俺は小さく肩を落とす。

リビングには莉子以外誰もおらず、家の中も静かなので、おそらく両親達は今買い物中なんだろう。

とりあえず、このまま莉子を寝かせるか。それとも、起こして宿題を手伝うか、暫く頭を悩ませていた時だった。


「……ん」

莉子の体が僅かに動き出し、小さな寝言が漏れる。

「櫂理君……」

しかも、突然名前を呼ばれ、思わず心臓が大きく跳ねた。


もしかして、俺の夢でも見てる?


そう聞きたいけど、当然返事なんてくるはずもなく。
全身の血が回っていくのを感じながら、俺は無意識に莉子の頬に手を伸ばす。
そして、無防備に晒された唇をそっと指でなぞった。


おそらく、今ここで莉子にキスしても、きっと誰にもバレることはない。


そんな邪な考えが過り、俺は欲望のままに顔を近付ける。


だけど、すんでのところで理性が働き、代わりに莉子の額にそっと自分の唇をあてた。


これで、欲求が満たされるわけじゃないけれど。
それでも、幾分かはマシだと思う。


コーチの言うとおり、一度禁忌に触れた者の罰。



こうなったのも、全部俺のせいだ。



そう改めて自分に言い聞かせると、俺は暫くの間、気が済むまで莉子の寝顔を黙って眺め続けた。
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