悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
__それから数年後。
「ねえ、櫂理君って好きな子いるの?」
中一になって初めての期末テストが終わり、久しぶりに莉子と一緒に下校した日。
突然投げられた質問に、俺は思わずその場で立ち止まってしまう。
「………………いない」
それから、どう答えようか迷ったけど、とりあえず今は混乱させてはいけないと。
短い間で脳をフル回転させ、そう結論に至った俺は無難に答えた。
「もしかして、莉子は好きな人いるのか?」
そして、瞬時に浮かんできた疑問をすぐに吐き出してみる。
こんな質問をするということは、十中八九そんな気がして、緊張と不安で徐々に鼓動が早くなっていく。
「……えと、好きな人っていうわけではないけど、気になる人なら……」
「誰?」
そして、嫌な予感が的中した瞬間、俺は莉子の言葉を遮り即座に聞き返した。
「え?あの……同じクラスの橋本君。でも、本当にただ気になるだけだよ。橋本君はクラスの人気者で、誰にでも優しいの。だから、ちょっといいなって思って」
俺の食い気味な反応に若干戸惑いながらも、照れくさそうに教えてくれた莉子の表情はすこぶる可愛くて。
話してる内容が違ければ、このまま見惚れてしまうくらい。
でも、そんな余裕は当然あるはずもなく。
心の底から湧き上がる憎悪と嫉妬で、今にも気が狂いそうになっていく。
「これ誰にも言わないでね。櫂理君だけ特別」
一方、俺の心境なんて露知らず。
これまた蕩けるような笑顔で向けられた“特別”という単語が、これ程までに残酷だと感じたことはなかった。