悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~

再び頭の中がパンクしそうになる手前。
私は保健室の扉を思いっきり開くと、中はがらんとしていた。

お昼休みの保健室は大体生徒達の寝床になっていると聞くけど、今日は誰一人としておらず、なんとも好都合な状況に私は窓際のベッドへと向かう。

本当は美南にデートの話をしたかったけど、今は櫂理君のことで頭がいっぱいいっぱいで、気持ちを落ち着かせるためにここへ逃げてしまった。


とりあえず、少しだけ休んでから戻ろうと私は仕切りのカーテンを開く。

「…………え?」

すると、誰もいないと思っていたのに、そこには既に先客が居て、思わず間の抜けた声を出してしまった。


「……ん。……ああ、なんだ。莉子か」

カーテンの音で起こされた先客はうっすら瞼を開くと、視線だけをこちらに向けてきて、虚な目で私を見てくる。

「起こしてごめんね。人がいるとは思わなかったから」

まさか、ここで雨宮君に遭遇するとは。
私はようやく保健室がガラ空きな意味を理解すると、即座に頭を下げて場所を変えようと踵を返す。

その直後、雨宮君に突然腕を掴まれてしまい、何事かと後ろを振り返った矢先。
起き上がった雨宮君の隣に有無を言わさず座らされ、私は頭上にクエスチョンマークを浮かべながら、その場で固まった。

「あ、あの雨宮君?これは一体……」

「……で、今度は弟と何があったんだ?」

なんと。
まだ何も話してないのに、まるで超能力者の如くすべてを見透かされてしまい、私はたじたじになる。

果たして彼に話してもいいのかよく分からない。

また、くだらないと呆れられるかもしれないけれど、聞こうとしてくれる姿勢は有難いので、私はお言葉に甘えて土曜日の出来事をポツリポツリと雨宮君に話し始めた。
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