悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
謎の転校生
「へえー。いいじゃん、弟君とのデート。楽しんできなよ」
「違う。デートじゃなくて、ただのお出掛けだから。そこ、間違えないで」
「別にどっちでもよくない?」
早速この前のことを美南に話したら、なにやら物言いたげな目でこちらを見てくるので、私はわざとらしく咳払いを一つする。
「ていうか、莉子って何でそんなに姉弟関係にこだわるの?義理なんだからそこまで頑なにしなくてもいいじゃん」
すると、今度は的を射た鋭い質問が飛んできて、言葉に詰まってしまう。
「わ、分かんない。前も言ったけど、今までずっと本当の弟として見ていたから変化に追い付いていけないというか……」
「それじゃあ、変化に追い付いたら弟君のこと男としてみれるってこと?それか、そもそもとしてタイプじゃないとか?」
そして、更に触れて欲しくない部分を容赦なく突き刺してきて、私は窮地に追い込まれた。
「そんなことないよ。櫂理君は格好良いし、優しくて可愛いところあるし。……まあ、少し愛が重いところとか、やんちゃなところとか、人を催眠術で操ろうとする悪戯っ子なところとかあるけど」
「いや、待って。催眠術ってなに?」
けど、ここで意地を張っても仕方ないので、正直な気持ちを打ち明けようとしたら、何やら美南に思いっきりツッコまれた。
その時、丁度朝のHRが始まるチャイムが鳴り出し、私達は慌てて席に着く。
しかし、そんな真面目な生徒は教室の半分にも満たなくて。
殆どの生徒は未だ好き勝手な場所に居座り、気にせずお喋りを続けているか、そもそも登校すらしていない。
うん。
今日も安定して、治安悪いなあ。
そう思いながら先生の到着を待っていると、教室の扉が開いた途端、まず入ってきたのは、まったく見覚えのない学ラン姿の男子生徒だった。
……え?
この人誰?
教室間違えたのかな?
襟足が肩まで伸びた艶めく長い金髪と、薄いブルーの瞳。
睫毛は遠目で見ても長いことが分かり、切れ長な目は格好良いというよりも綺麗な印象。
ハーフのように堀が深くて肌も色白で、こんな目立つ人は今まで見たことがない。
櫂理君も圭君もかなりのイケメンだけど、この人も二人に匹敵するくらい相当なイケメン具合。
私はともかくとして、美南がそんな人を見逃すわけはないと思うけど……この人は一体誰?
「転校してきた雨宮優星だ。よろしく」
そう思った直後、まさかの先生不在で転校生自ら自己紹介を始め、周囲にどよめきが起こる。
「だ、ダメだよ雨宮君!勝手に行っちゃ!……あ、そういうことだから皆仲良くしてねー」
それから、数秒遅れてようやく担任の先生が登場し、開始わずか二十秒で彼の自己紹介は終わった。