悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「莉子、こんな時間に何してんの?」
「ひゃあ!」
すると、突然自室の扉が勢いよく開き、不意をつかれた私は思わず間の抜けた声を発してしまった。
「もう!部屋に入る時はノックしてって言ったでしょ!」
「あ、悪い。なんか騒がしい物音がしてたから、つい。……で、この有様はなに?」
それから、櫂理君はあまり悪びれることなく、私の部屋を見渡してから呆れ顔で尋ねてきた。
「えと、クローゼットを少し片付けようかなって思ったら、こんなことになっちゃって……。うるさくしてごめんね。なるべく静かにするから」
確かに、こんな深夜に大整理なんて迷惑極まりない。
時間も時間だし、やっぱりこの辺で切り上げなきゃダメかなと。自己反省した私は、意地を捨てて諦めようとした時だった。
「へえー。懐かしい。こんなの持ってたんだ」
いつの間にやら櫂理君は私の隣に座り、広げていたアルバムを興味津々な目で眺めていた。
「これ、私達が初めて家族になった時のだよ。この時の櫂理君って小さくて本当に可愛かったなぁ〜」
当時の私は十歳で、櫂理君が七歳。
この頃は身長差が十センチ以上もあったのに、今は私よりも遥かに高い。
顔付きは当時より凛々しく、体格も逞しくなって。
”男の子“から“男性”へと成長した彼の横顔を覗き見すると、なんだか胸の奥が少しだけ熱くなってくる。
「…………なあ、今でも莉子って俺のこと“可愛い”って思ってんの?」
すると、突如ポツリと投げられた櫂理君の問い掛けに、私は一瞬だけ思考回路が停止する。
「えっと……。それは……」
「そうだよ」って言おうとしたけれど、いつになく真剣な表情を向けられ、言葉に詰まる。
まるで、何かに怯えているような。
漆黒の瞳が弱々しく揺れていて、堪えきれず、つい視線を逸らしてしまう。
「櫂理君は私の大切な弟だから……」
色々思考を巡らせてみたけれど、結局答えは見つからず。曖昧に返答したら、櫂理君は暫くの間黙り込んでしまった。
「…………そっか」
それから小さく頷くと、何も言わずにその場から立ち上がる。
「それじゃあ、あんまり夜更かしするなよ。おやすみ」
そして、影かかった笑顔を見せると、静かに私の部屋から出ていった。