悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「あ、宇佐美姉だ」
「姉さん、お疲れ様です!」
「荷物重そうっすね。手伝いますよ」
「……あ。えと、結構です」
ボディーガードどころか、何故か私はこの学校内の極妻的な存在となってしまい、廊下を歩くと、すれ違う不良達に次々と頭を下げられる。
「いやあー、やっぱり莉子の隣に立つと気分いいわー。皆あたしの下僕って感じ?」
「私は恥ずかしくて死にそうなんだけど」
先生に頼まれた荷物を手に持ち、なるべく周囲と目を合わせないよう身を縮こませながら歩く私とは裏腹に。
意気揚々とした面持ちで、廊下の真ん中を堂々と歩く美南の度胸には相変わらず恐れ入る。
この学校は昔男子校だったということもあり、男女比率は7:3で女子が圧倒的に少ない。
そして、未だ女子がなかなか集まらない要因は、この学校は不良の溜まり場だから。
更に言えば、この地区の不良が全てここに集結しているのではないかと言うくらい、校内はかなり荒れている。
器物損壊、脅迫、暴力行為は日常茶飯事。
卒業生が乱入してくることもしばしば。
風紀も乱れに乱れ、見てはいけない場面に出会したことも何度かあった。
先生達は勿論お手上げ状態で、警察の人が来ることも珍しくない。
そんな怖い人達が溢れかえる中、美南は数少ないまともな生徒のうちの一人で、一年生からクラスが同じ親友。
ほんのり茶髪のストレートで、ピアスもしているから始めは少し怖かったけど、話してみたら中身はとても真面目で勤勉で、そのギャップに萌えた。
その上度胸もあって、絡まれそうになった時は守ってくれたりもして、頼れる私のヒーローでもある。
でも、それは去年までの話で。
櫂理君が入学してからは彼の圧倒的な力と権力により校内に統制が出来て、今では私に絡む人は誰もいなくなった。
それが良いことなのか悪いことなのか、姉の立場としては何だかとても複雑な気持ちになる。