悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
__翌朝。
「櫂理君おはよう」
寝ぼけ眼をこすりながら洗面台に向かうと、丁度トイレから出てきた櫂理君と鉢合い、いつものように挨拶する。
「……おはよう」
だけど、返ってきた反応は予想と違っていて。
一間置いてから櫂理君は小さく口元を緩ませると、そのままリビングへと行ってしまった。
普段なら、満面の笑みで私に抱きついてくるのに。
こんな素っ気ない態度は、櫂理君が初めて反抗期になった時以来だ。
「どうしよう!櫂理君、間違いなく昨日のこと引き摺ってる!」
「てか、反抗期以来って……。あんた達いつもどんな朝を迎えてんの?」
登校して早々、早速今朝のことを美南に話したら、何やら冷ややかな目を向けられてしまった。
「まあ、姉弟関係から必死に抜け出そうとしている彼にとって、“弟”って言葉は一番こたえるよね」
そして、今度は淡々とした口調で傷口に塩を塗られ、私は返す言葉もなく、その場で項垂れる。
「どうすればいいんだろう。謝ればいいのかな?」
「謝ってどうにかなる問題じゃないでしょ。てか、別に莉子が悪いわけじゃないじゃん」
とにかく、この現状をなんとかしようと打開策を提案してみたけれど、またもや美南に論破されてしまい、再び頭を抱えた。
櫂理君とは、これまでどおりの関係を築いていきたい。
だけど、それは虫が良過ぎる話なのは分かっている。
櫂理君のことを弟としか見れないって断言してしまえば、時間は掛かるかもしれないけれど、きっと彼は解放されると思う。
こうして、ずるずる引き摺るよりも、早くそうした方が櫂理君のためにもなるのに。
それなのに。
なんで、私はこんなにも優柔不断なんだろう。