悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「ひどい。私は、もう櫂理君が誰かに傷付けられるところなんて、見たくないのに」
そう涙ながらに訴えられると、さすがに良心が痛む。
同時に愛しさがとめどなく溢れてきて、俺は莉子の両頬に手をあてると、自分の額を莉子の額にそっとくっ付けた。
「ごめん莉子。全部俺が悪いんだ。勝手に期待して、困らせて。それで一人でいじけて、心配させるなんて本当にガキだよな」
これまでのことを冷静に振り返ると、我ながらほとほと呆れてくる。
圭みたく自分の感情を上手くコントロール出来れば、どんなによかったか。
これじゃあ、ずっと弟扱いなのも仕方がないと思う。
そう身に染みて感じていると、不意に莉子は俺の体を包み込むように抱きしめてきた。
「ねえ櫂理君。どんな立場であれ、私が今一番大切なのは櫂理君なの。だから、それだけは忘れないで」
それは、まるで恵みの雨のように。
ぽつりぽつりと降り注ぐ彼女の言葉が、荒れた心に染み込んでくる。
すると、突然頬から伝わってきた冷たい感触。
ふと頭上を見上げた途端、今度は次から次へと空から水滴が零れ落ちてきた。
……ああ、ついに降ったか。
そんなことをぼんやりと考えながら、そっと瞼を閉じる。
雨がこんなにも心地良いと感じたのは、おそらくこれが初めてかもしれない。
段々と負の感情が浄化されていくようで、再び莉子の体を抱き締める。
とりあえず、今はこれでいい。
未だ停滞する関係にもどかしさは残るけれど、”一番”という言葉が聞けただけで十分だ。
そう自分に言い聞かせると、この二人だけの時間をもっと堪能したくて。気の済むまで、俺は莉子の温もりに甘え続けた。