悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「……熱い」
次第に、手からじんわりと伝わってくる櫂理君の汗。
よく見ると、顔まわりや首元にも滲み出ていて、なんだか寝心地が悪そう。
「櫂理君、汗拭いてあげようか?」
それから、何気なく提案してみると、櫂理君は躊躇いもなくパジャマのボタンを外し始めた。
そして、着ていたシャツまでも脱ぎだし、あっという間に厚い胸板が露わになる。
「……え、えっと……」
どうしよう。
自分で言っときながら、なんだか凄く恥ずかしくなってきた。
というか、まさか上着まで脱ぐとは思わなかった。
高校生になってから初めて見る、櫂理くんの体。
幼い頃とは違う、引き締まった「男性」の体温を間近に感じて、心臓が耳のすぐそばで鳴り始めた。
「どうした?」
すると、なかなか動こうとしない私を、きょとんとした目で見てくる櫂理君。
いつもと違い、下心が微塵も感じられないので、益々窮地に追い込まれる。
とにかく、このまま放置したら逆効果なので、私は持ってきたタオルを手に取り、震える手で櫂理君の体を拭き始めた。
こんなに男の人の体をまじまじと見たのは初めてかもしれない。
子供の時は、一緒によくお風呂に入ったりしていたのに。
日頃から鍛えているからか、あの頃とは比べものにならないぐらい逞しい筋肉質の体。
腹筋も綺麗に割れていて、まさか細身の服の下に、こんな立派なものが隠れていたとは知らなかった。
それに、熱のせいで頬が赤く、虚な目をこちらに向けてくる姿が、なんだか凄く艶めかしい。
おかしいな。
さっきまで幼少期の櫂理君だったのに。
今では大人の色気を無自覚にこれでもかと振り撒かれ、平静を装うのにもそろそろ限界を迎えてくる。
「莉子、好きだよ……」
「へ!?」
すると、なんの前触れもなく突然告白をされ、思わず素っ頓狂な声を発してしまった。
「これからも、ずっと好きだから」
しかし、激しく動揺する私にはお構いなしと。櫂理君は穏やかに口元を綻ばせると、私の頬を優しく指でなぞり、視線を合わせてくる。
その熱のこもった純粋な瞳が、あまりにも真っ直ぐ綺麗で。
まるで妖術にでもかかったように、私の心は射すくめられ、動けなくなる。
だめだ。
このままじゃ取り込まれてしまう。
そんな危機感が襲い、私は無理やり視線を逸らすと、止めていた手を無心で動かした。
それから、一通り体を拭き終えると、櫂理君に服を着させ、逃げるように部屋から出て行った。