悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~

愛と依存


”努力は報われる”


幼い頃はその言葉をずっと信じて頑張ってきた。


だけど、成長すれば、現実はそんな甘くはないことを嫌というほど思い知らされ。

そして、いつしか頑張るということがバカバカしくなって。


気付けば、何もかもがどうでもよくなっていた。






「いやだ!私はまだ諦めたくない!」

「そんなこと言ってもねー。てか、莉子の方が私より点数酷くない?」

バツ印で埋め尽くされている答案用紙を片手に、やさぐれる美南。その言葉を聞き入れたくなくて、強く反論したら即返り討ちに遭ってしまい、私は唇を噛み締める。

あれほど勉強したのに。
その努力を嘲笑うかのように、予想を大きく下回る点数がこれでもかと揃ってしまい、悔しくてたまらない。


「これじゃあ、期末も終わったわー。てか、そろそろ本気出さないと、あたしらマジで大学行けないんじゃない?」

すると、耳が痛い話に段々と危機感が襲ってきた。

「どうしよう。次の期末で挽回しないと、夢のキャンパスライフが……」


勉強は大嫌い。
だけど、大学には行きたい。

好きな服を着て、メイクして、自由に授業を組んで、サークルにも入ったりして。

そして、なによりも、次こそは《《普通》》の人達に囲まれた学校生活を送りたい!


そのためには、もっと勉強を頑張らないと、夢なんて到底叶わない気がする。

やっぱり、一人で勉強するのにも限界があるのだろうか。

だけど、塾に行っても全然付いていけないし……



「雨宮すげー。授業まともに出てないのに、なんでそんな点数取れるの?」


その時、絶望する私の後ろで、ふと耳に入ってきた男子達の会話。

好奇心でさり気なく視線を向けてみると、雨宮君の机の上には高得点の答案用紙がずらりと並んでいて、つい二度見してしまった。

「さあ?ただの勘?」

冗談なのか本気なのか。よく分からないけど、あっけらかんとした表情で答える雨宮君が、なんだかとても神々しく見えて。気付けば、頭よりも先に体が動いていた。


「雨宮君、私に勉強教えて!」

「「はっ?」」


突然会話に乱入してきた私を、唖然とした目で眺める雨宮君と男子達。

「……別にいいけど」

そして、何よりも周囲を驚かせたのは、返ってきた雨宮君の肯定的な一言。

まさか、こんなにあっさり承諾してくれるとは思いもよらず。

否定された時の対抗策をあれこれ考えていた分、少しだけ拍子抜けしてしまった。

「ほ、本当にいいの?」

いつもなら面倒ごとは凄く嫌がるのに。
何かの間違いかと思い、念のため確認してみたら、雨宮君は何も言わず首を縦に振ってくれた。

「それじゃあ、私も教えて!」

すると、間髪入れず美南が私達の間に割って入り、目を輝かせて天井高く手を真っ直ぐ伸ばしてきた。

「やだ。二人はめんどい」

しかし、今度は即断られてしまい、当てが外れたことに、美南は軽い舌打ちをする。  

「それじゃあ、莉子。弟君誘ってよ。彼ならきっと二年の授業も余裕でしょ」

「……え?」

今度は何を言うのかと思いきや。
まさかの年下にお願いするという、プライドも何もない提案に、私は目が点になる。

ついさっきまでテスト勉強なんて放棄していたくせに。
一体どういう風の吹き回しでこうなったのか知らないけれど、一度火が付いた美南の熱はなかなか冷めることなく。

ダメ元で櫂理君にメッセージを送ったら、一分と経たずに承諾の返事が来た。
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