悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「みんなー。ケーキ買ってきたんだけど、勉強の合間にどう?」
己の理解力のなさに絶望していた最中。
母親が見慣れた白い箱を持って意気揚々とリビングに現れ、沈んでいた気持ちが一気に上昇する。
「それは、ルポゼのケーキ!?はい、食べます!」
そして、私よりも先に美南が反応し、期待に満ちた目をケーキの箱に向けた。
こうして、母親の粋な計らいで一息つくことになった私達。
箱の中にはショートケーキやチョコレート、モンブラン、フルーツタルトなどなど。この店の定番がずらりと並んでいて、どれを選んでも間違いない品揃え。
そして、特に揉めることなくケーキ選びはあっさりと終わり、後から出てきた紅茶と一緒に、優雅なひと時を堪能している時だった。
カシャ。
突如鳴り響いたスマホのシャッター音。
何事?と振り返ると、視線の先には真顔で櫂理君達にスマホのレンズを向けている美南の姿が映った。
「なに?盗撮?」
けれど、当の本人は全く動じていないようで。
カメラには見向きもせず、櫂理君はケーキを食べながら無表情で尋ねた。
「ヤンキー校のトップ達が揃ってケーキ食べる姿なんて超レアじゃん。ビジュも最高だし。だから、ファンに捌けば高値が付くかなって。ねえ、写真売ってもいい?」
「いいけど、撮影料は売上金の二倍だよ」
ただの好奇心かと思いきや。とんだ邪な目的に私は絶句していると、圭君がそれを上回る要求を満面の笑みでしてきて、更に驚かされた。
でも、美南の言うとおり、この光景はかなり貴重かもしれない。
それに、こうして皆で勉強をして、ケーキを食べて、楽しく(?)雑談をするのも高校生になってから初めて。
正直、この学校ではそんな青春は出来ないと諦めていた。
だから、期待していなかったけれど、成り行きで出来たこの時間が、なんだか凄く新鮮に感じて。
勉強は苦痛だけど、この穏やかで少し幸せな空間が、とても心地良いと思った。