悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
◇◇◇




「お邪魔しました」 

「それじゃあ、また明日学校でねー」

「うん。みんな今日はありがとう。気を付けて帰ってね」


それから日が完全に沈んだ頃。
勉強会はお開きとなり、私は玄関まで美南達を笑顔で見送った。

この数時間で頭の中はパンクしそうだけど、今日は凄く充実した一日だったと思う。

これだけ家の中が賑やかなのも久しぶりだったし、きっと櫂理君にとっても良い刺激になったんじゃないかな……


「ひゃっ!」


すると、突然、背後からぐいっと誰かに抱きすくめられ、思わず変な声が出てしまった。

確認せずとも、この家でこんなことをするのは一人しかいない。私はおそるおそる振り返ると、案の定。視界には、物凄く不機嫌そうな表情でこちらを見下ろす櫂理君の姿が映った。

「ど、どうしたの?」

何やらただならぬ雰囲気に、つい顔が引き攣ってしまう。

「なんで優星に家庭教師頼んだんだよ。いつも俺が教えてるだろ」

そして、今度は不貞腐れたような目つきに変わり、小さく頬を膨らませてきた。


これは……完全に拗ねてる!


不意打ちで見せられた破壊力抜群の「弟モード」に、危うく理性が溶けそうになったけれど。そこは姉として、平常心をギリギリ保った。

「だって、櫂理君は一応年下だし。頼むならやっぱり同学年の方がいいかなって思ったの。それに、櫂理君にあまり依存し過ぎるのは良くない気がして……」

それから、理由を正直に話したら、櫂理君の表情がますます険しくなっていった。

「俺に依存するのが嫌なのか?俺は莉子に依存しまくっているのに?」  

そして、簡単に受け流せない程の重たい問い掛けを真顔で投げられてしまい、私は返答に困った。


確かに、自惚れているわけじゃないけれど、今の櫂理君から私を取ると、彼は一体どうなってしまうのだろう。

そんな疑問がふと脳裏をよぎり、困惑の目を彼に向ける。

普段はダイヤモンドのように硬いメンタルを持っているのに。私のことになると、こんなにも脆くて、弱くて。
もしここで私が彼を拒んだら、きっと簡単に崩れてしまう気がする。


かく言う私も、もし櫂理君が姉離れをするようになってしまったら…………。


ダメだ。

考えただけで、体が震えてくる。


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