悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「櫂理君、映画終わったよ」
結局、色々考えていたらいつの間にか終了していたようで。
せっかくの映画なのに内容が全く頭に入らないまま、気付けば劇場内は明るくなっていた。
「どうしたの?もしかして、面白くなかった?」
しかも、莉子に余計な心配をさせるという失態を犯し、自己嫌悪に陥る。
「ねえ、知ってる?話題の超怖いお化け屋敷が今期間限定でやってるの」
「素足で歩くやつでしょ。あれ私の友達がこの前行ったら怖過ぎてリタイアしたって」
「靴脱ぐとかエグ過ぎだよね。あたしも興味はあるけど挑戦する勇気ないわー。トラウマになりそうだし」
すると、後ろの席から聞こえてきた女達の話し声に、ピクリと体が反応する。
そして、即座にスマホを取り出し検索をかけると、一番上には【呪われた家】と書かれたお化け屋敷の情報が掲載されていた。
__そこで、俺は確信する。
「莉子、次ここ行かない?」
善は急げと早速スマホの画面を見せると、案の定。
莉子は石像のように動かなくなり、暫くの間反応がない。
「む、無理!絶対無理!素足で行くなんて考えただけでも怖すぎる!」
それから数秒後、首がもげそうな程勢いよく横に振り、全力で拒んできた。
「それなら、ずっと俺にしがみついていればいいから」
とにかく、莉子が俺から離れないようになればそれでいい。
そして、上手くいけば吊り橋効果によって俺を男として見てくれるかもしれない。
そんな期待を込めてお得意の子犬顔をしてみたら、どうやら意思はかなり固いようで。一瞬たじろいだけど、いつものように頷いてはくれなかった。
「私、お化け屋敷本当にダメなの。だから、ごめんね櫂理君。今回は諦めてくれるかな?」
断る莉子の表情はすこぶる罪悪感に塗れていて。それを見た瞬間、俺は心の中で小さくほくそ笑んだ。
「……そっか。わかった。莉子がそう言うなら、仕方ないな。期間限定って書いてあったから、ついテンション上がって」
それから、自分の中で精一杯の悲しい顔をつくり、視線を足元に落とす。
「こっちこそ、ごめん。莉子がこういうの苦手なの知ってて誘って。あまり見ない設定だったから、めちゃくちゃ面白そうって思ったけど……諦めるよ」
そう言って、最後に弱々しい笑顔をみせて、その場から立ち上がる。
その数秒後。
突然莉子に腕を捕まれ、体が後ろへと傾いた。
「………………わかった。それじゃあ、一緒に行こう!」
そして、暫く沈黙が流れたあと、意を決したような顔で、莉子は大きく頷いてくれて。その反応を見た俺は、気付かれないように小さくガッツポーズをつくる。
やっぱり、ちょろいな。
思わずその言葉が外に漏れ出てしまいそうになるのを何とか堪え、俺達は早速イベント会場へと足を運ぶことにした。