御曹司はただの同期のはずだったのに
「はあ……」

思わず声が出る。

「それ、いくらかかったの?」

現実的な疑問。

でも、理人は肩をすくめるだけだった。

「大した額じゃない」

そして、さらっと続ける。

「それに俺、それだけ給料もらってるから」

そう言って、にっこり笑う。

――そして。軽くウィンクをした。

(……ずるい)

こんな顔、見せられたら。

もう、何も言えない。

私はそのまま、理人の手を握り返した。

もう、迷わない。

この人と一緒に、生きていく。

そう、はっきりと思えた。

家に入った瞬間、理人の腕に引き寄せられた。

そのまま、唇が重なる。

さっきまでのレストランの空気なんて、一瞬で消えた。

「……玲奈」

低い声。

< 145 / 150 >

この作品をシェア

pagetop