御曹司はただの同期のはずだったのに
言葉が出てこない。
理人は急かさない。
ただ静かに、答えを待っている。
その視線に捕まったまま、私は唇を開く。
「……そんなの」
否定しようとして、声が途切れる。
(どうして)
どうして、この人の前だと、こんなにも弱くなるの。
夜の静けさの中で、二人の距離だけが濃くなる。
もう、ただの同期には戻れない。
そんな予感だけが、はっきりと胸に残っていた。
エレベーターの中は、静かだった。
上昇する機械音だけが、やけに大きく響く。
隣に立つ理人は何も言わない。
私も、何も言えない。
さっきの言葉が、まだ胸の中に残っている。
――俺が通ってもいい?
その意味を、考えないようにしても、消えてくれない。
階数表示が一つずつ上がっていくたびに、逃げ場が減っていく気がした。
(……引き返せばいいのに)
そう思うのに、足は動かない。
理人は急かさない。
ただ静かに、答えを待っている。
その視線に捕まったまま、私は唇を開く。
「……そんなの」
否定しようとして、声が途切れる。
(どうして)
どうして、この人の前だと、こんなにも弱くなるの。
夜の静けさの中で、二人の距離だけが濃くなる。
もう、ただの同期には戻れない。
そんな予感だけが、はっきりと胸に残っていた。
エレベーターの中は、静かだった。
上昇する機械音だけが、やけに大きく響く。
隣に立つ理人は何も言わない。
私も、何も言えない。
さっきの言葉が、まだ胸の中に残っている。
――俺が通ってもいい?
その意味を、考えないようにしても、消えてくれない。
階数表示が一つずつ上がっていくたびに、逃げ場が減っていく気がした。
(……引き返せばいいのに)
そう思うのに、足は動かない。