御曹司はただの同期のはずだったのに
でも、不思議と嫌じゃない。

「桐谷さんって、姉ちゃんみたい」

「はあ?」

もう一度、同じ声が出た。

「いや、なんか頼りになるっていうか」

悪びれもなく言う公太に、思わず苦笑する。

「それ、褒めてる?」

「もちろんです」

即答。

そのまっすぐさに、少しだけ頬が緩む。

(……まあ、悪くないか)

そんなことを思ってしまう自分がいた。

その後も、公太は自然に隣に座り、資料に目を通し始める。

「これ、ここの数字、少しだけズレてません?」

「え?」

指摘されて画面を見ると、確かにわずかなズレがあった。

「……ほんとだ」

「こういう細かいところ、もったいないです」

真剣な表情。

ただの後輩じゃない。

ちゃんと結果を出している理由が分かる。

「でも、今日の資料、すごかったです」
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