銀杏並木の毒舌な隣人たち(祝祭の檻編)
 この日、休日の麻美子は東京は丸の内。大手町にある披露宴会場に向かっていた。

 会社の後輩が結婚をし、それに出席するため電車に乗り会場に向かっていたのだ。

 午前中の大手町駅に降り、一人会場に向かう。
 近くのゴミ捨て場にはカラスが二羽。回収前のゴミを漁っている。

 麻美子が歩き近づいても、逃げようとしない。
 一羽のカラスが、少し警戒したのか、塀の上に登り麻美子を見つめると、なんだか嫌な予感がしていた。

「残念。残念。麻美子。後輩に先を越され、悲しんでいるんだね。あー残念」

(ああっ、やっぱりね、そう来たか)と、直球の言葉を言われ、肩を落とした。

 反撃しようと身構えると、つがいの片方も応戦してくる。

「おまけに、その服はなんなの? 花嫁に気を使い『白は切れない』『黒は地味』形式のとらわれて着たい色も選べないの?」

「それにその飾り。僕たちが集めたものより、随分と貧相だね。主役を立てるために、自分を『安物』に擬態させるなんて、涙ぐましい努力だ」

 毒舌を話す動物たちに、麻美子は慣れたものだと思っていた。
 しかし漫才のように間を開けない二人の言葉の旺盛に、気力負けしてたじろいでしまている。

「うるさいわね。ゴミを漁ってるあなたたちに、私の人生を残念がられる筋合いはないわ!」
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