悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
心配性の妻と言われたのが照れ臭かったのか、つかさはちょっぴり頬を染める。
夫婦として暮らし始めてそれなりに経つが、なかなか妻扱いに慣れてくれない。
元々取引などと言ってしまったせいだが、近頃は少しずつ夫婦としての距離を縮めようとしているのに。
「そもそも忙しい中弁当を作ってくれるだけで有難いんだ。たまに手抜きするくらいがちょうどいい」
「でも、今日は私が夕飯当番だったのに」
「デザートが楽しみだ」
頼久は手洗い、うがいをしてスーツから部屋着に着替えた。
「いただきます」
「いただきます」
二人で夕食を食べながら、頼久は話し出す。
「要くんの件だが、彼のアリバイが立証された」
「えっ」
「監視カメラ映像がフェイクだという証拠は揃った。更に犯行時刻に秘書室で要くんを見たという証言も得られた」
「あ……」
つかさは持っていたスプーンを置き、ポロポロと涙をこぼす。
「よかった……っ」
両手で口元を押さえ、涙が止まらないつかさに頼久はハンカチを手渡す。
受け取ったハンカチで目元を押さえながら、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。あの子も喜ぶと思う……っ」
「すまない、つかさ。まだ要くんには話さないで欲しい」
つかさは驚いて顔を上げる。涙も引っ込んでいた。
「まだ要くんが無実だという裏が取れただけだ。事件は終わっていない」
「あ、真犯人が……」