悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
流石に彼が告白してくれたのだと理解し、どうしていいのかわからない。
(ずっとっていつから……?)
高校生の時、頼久は「好きな人がいる」と別の女子からの告白を断っていた。
その好きな人というのが、自分だったのだろうか。
その言葉を聞いて失恋したとショックを受けていたのに、実は自分に対して嫉妬していたのだろうか。
「あれ……? でもその後、確か彼女いたよね?」
確か名前は内海まりえと名乗っていたと思い出す。
突然つかさを訪ねてきたと思ったら、頼久には近づくなとキツく牽制された。
とても華やかな美人だからこそ迫力があったのも記憶している。
家族ぐるみでの付き合いがあり、結婚を考えていると話していたことも。
(気にしないようにしていたけど、やっぱり気になる……!)
本音を言えばずっと気になっていた。
契約上の妻には関係ないと思いつつ、どうしても元恋人という存在は気になってしまうものだ。
途端にモヤモヤした気持ちがつかさの中で大きく膨らむ。
「――いや、今度はちゃんと本人に聞かなきゃダメだ」
十二年前はまりえの存在に動揺し、自分と頼久の立場の違いを突きつけられて弱気になってしまった。
でもあの時彼本人ときちんと話していれば、違ったのかもしれない。
次こそは頼久を傷つけることなく、真正面から向き合いたい。
「……よし」
つかさは静かに深呼吸し、決意を固めた。