青春恋愛ミッション
第1話 春先の学び舎で
「あ、そう、ああ、あの子ねぇ。」
「あのフルートを演奏しているのが”優子”」
「有名芸大に1位の順位で、指定校推薦されている秀才」
「後輩みんなが憧れるお嬢様タイプの優等生」
「そりゃみんな憧れるよ......有名芸大だなんて」
「ファンレターとかラブコールがすごいんだって」
「君はどう思う?」
「優子」は時折照明の光に反射してきらりと光るフルートを、しなやかに
操っていた。
フルートをあやつるその細長い綺麗な仕草は、名演奏家として相応しい、美しさである。
爽やかで森林の新鮮な新風が流れ込むような音色は、全ての聴き手を虜にした。
「でもちょっと体が細くない?」
「それは、タイプだよな」
「俺は、ふっくらした方が好みだけど」
「でも細い方が繊細で女性らしいよ」
土曜日に授業を終えた生徒たちが練習をみている。
5月も気候の良い、土曜日の昼下がり、この高校の吹奏楽部の練習はとある
音楽ホールで行われている。
「好きだ!付き合ってくれ」
「恋愛も男も興味ないから無理!」
「嫌いよ!そんなの!」
「四六時中、私についてくるなんで気持ち悪い」
「私には、もっといい友達がいるの」
「そんな!! 俺の方が魅力的だろ!!」
「そうじゃないの」
「恋愛相手は女性がいいの」
「乙女には美ということしかないの」
「男なんて野暮ったいし、好きじゃない!!」
「その友達って誰?」
「奈津子よ!」
「奈津子って、あのクラリネットの?」
「そう、彼女の方が魅力的だし、勉強だってできるんだから」
「俺には理解できない。彼女のどこがいいの?」
「俺が好きなのは、優子だけなんだよ!!」
「でも、とにかく、今私が好きなのは、奈津子だけなんだから」
吹奏楽部の練習はいつもこの音楽ホールで行われ、そのステージの袖で二人の会話劇が繰り広げられていた。
この高校の吹奏楽部の練習は音楽ホールで行われるので、知っている人なら
誰でも演奏を見学することができる。
その放課後には甘い時間がすぎていた。
吹奏楽部の女性エース・長野 優子(ながのゆうこ)
入学時から音楽的センスと才能が際立ってピカイチの彼女は、将来
タレントになるのだと目されていた。
彼女はとんとん拍子で実績を決めていくので、周囲からは羨ましがられている。
全ての実力が折り紙つきの文句なしの優秀な生徒である。
会話劇のもう一人は同じ吹奏楽部で、トランペット演奏を担当する
斉藤こうた(さいとう こうた)
実家が雑貨店が生業の、将来薬剤師となるべく嘱望されている理系の期待の星である。
なかば「先生」とも呼ばれる、物分かりの良さは、高校の勉強の枠を超えている超人的な生徒である。
こうたの定期券入れには「優子」の写真が入っている。
折に触れては、その写真を見て満足している彼である。
「こうた」は「優子」に一目惚れした中の一人なのである。
生の「優子」がいるといつも一緒にいたい、そう無意識に行動する「こうた」である。
「優子」が「奈津子」を好きなことは「こうた」にはどうする手立てもない。
こうたはどうすることもできない歯痒さを誰にも打ち明けずにいた。
「あのフルートを演奏しているのが”優子”」
「有名芸大に1位の順位で、指定校推薦されている秀才」
「後輩みんなが憧れるお嬢様タイプの優等生」
「そりゃみんな憧れるよ......有名芸大だなんて」
「ファンレターとかラブコールがすごいんだって」
「君はどう思う?」
「優子」は時折照明の光に反射してきらりと光るフルートを、しなやかに
操っていた。
フルートをあやつるその細長い綺麗な仕草は、名演奏家として相応しい、美しさである。
爽やかで森林の新鮮な新風が流れ込むような音色は、全ての聴き手を虜にした。
「でもちょっと体が細くない?」
「それは、タイプだよな」
「俺は、ふっくらした方が好みだけど」
「でも細い方が繊細で女性らしいよ」
土曜日に授業を終えた生徒たちが練習をみている。
5月も気候の良い、土曜日の昼下がり、この高校の吹奏楽部の練習はとある
音楽ホールで行われている。
「好きだ!付き合ってくれ」
「恋愛も男も興味ないから無理!」
「嫌いよ!そんなの!」
「四六時中、私についてくるなんで気持ち悪い」
「私には、もっといい友達がいるの」
「そんな!! 俺の方が魅力的だろ!!」
「そうじゃないの」
「恋愛相手は女性がいいの」
「乙女には美ということしかないの」
「男なんて野暮ったいし、好きじゃない!!」
「その友達って誰?」
「奈津子よ!」
「奈津子って、あのクラリネットの?」
「そう、彼女の方が魅力的だし、勉強だってできるんだから」
「俺には理解できない。彼女のどこがいいの?」
「俺が好きなのは、優子だけなんだよ!!」
「でも、とにかく、今私が好きなのは、奈津子だけなんだから」
吹奏楽部の練習はいつもこの音楽ホールで行われ、そのステージの袖で二人の会話劇が繰り広げられていた。
この高校の吹奏楽部の練習は音楽ホールで行われるので、知っている人なら
誰でも演奏を見学することができる。
その放課後には甘い時間がすぎていた。
吹奏楽部の女性エース・長野 優子(ながのゆうこ)
入学時から音楽的センスと才能が際立ってピカイチの彼女は、将来
タレントになるのだと目されていた。
彼女はとんとん拍子で実績を決めていくので、周囲からは羨ましがられている。
全ての実力が折り紙つきの文句なしの優秀な生徒である。
会話劇のもう一人は同じ吹奏楽部で、トランペット演奏を担当する
斉藤こうた(さいとう こうた)
実家が雑貨店が生業の、将来薬剤師となるべく嘱望されている理系の期待の星である。
なかば「先生」とも呼ばれる、物分かりの良さは、高校の勉強の枠を超えている超人的な生徒である。
こうたの定期券入れには「優子」の写真が入っている。
折に触れては、その写真を見て満足している彼である。
「こうた」は「優子」に一目惚れした中の一人なのである。
生の「優子」がいるといつも一緒にいたい、そう無意識に行動する「こうた」である。
「優子」が「奈津子」を好きなことは「こうた」にはどうする手立てもない。
こうたはどうすることもできない歯痒さを誰にも打ち明けずにいた。