前世での誓い

1820年




ある屋敷、外の生垣の影に2人は身を潜めて抱き合っていた。



「ごめんなさい…」


「謝らなくて良い。僕がこうしたいんだ」


「でも見つかったら、私もあなたもどうなるか分かりませんから」




離れようとするお夏を新之丞は、強く抱きしめた。




「…今は難しいかもしれない。でも、次の世では必ず堂々と会える」


「はい、必ず。あなたにお会いしたいです」


「迎えに行くよ」




新之丞の肩に顔を埋めて頷いたお夏。すると、羽織の肩にお夏の涙が数滴溢れる。お夏は慌てて離れ、羽織を見るとやはり涙で濡れていた。


こんなこと、屋敷に戻られてどなたかに気づかれてしまっては、新之丞様のお立場が危うい。




「申し訳ございません!私は何てことを…」


「お夏、大丈夫だ。お夏にこの羽織を託したい。ずっと持っていて。いつかまた会えた時、これを渡してほしい」


「また会えた時…」


「いつも、お夏のそばに居る。君を愛していると、その羽織を贈りたい」


「ありがとうございます。私も新之丞様を、いつも想っております」




そうして2人は、以降会うことはなく人生を終えた。



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