前世での誓い
動揺せずに話せたよね?目が合うのは予想していなかったので、心臓が飛び跳ねた。新さんは目を見開いていたけど、〝ううん、何でもないです〟と平常心で答えが返ってくる。
新さんは余裕の表情で、私ばかり心臓を持っていかれるのはずるい。
「那津さん。いつもお昼ご飯は、どうされてるんですか?」
「お金に余裕があれば外食で、なければお弁当を持ってきてます」
「今日は?」
「作る精神的余裕がなかったので、コンビニですかね…」
「精神的余裕?(笑)」
自分で発信しておいて矛盾しているけど、そこには触れないでほしい。普段と何も変わらない、安定した心なら多分お弁当を持ってきていたと思うけど、それを新さんには話せない。
パリッとスーツを着こなした新さんと、プチプラ服で合わせた動きやすさ重視の崖っぷちの私。歩く時の歩幅も違えば、背筋の伸びも新さんの方が断然あって、隣を歩くだけで劣等感ばかり生まれてくる。
年齢は知らないけど、年上味のある落ち着いた雰囲気と犬のようなあざと感を兼ね備えた、ハイブリッドなエリートといったところだろうか。