前世での誓い
「西村さん、今時間あるかな」
「…はい、大丈夫です」
「ちょっと会議室来てくれる?」
カバンから水筒とスケジュール帳を出しかけて、部長に声をかけられた。金曜日の会議室の部長と社長の声が頭に流れて、会議室に向かう足がすくむ。
もうクビ以上の辛い言葉はごめんだ。次は何を言われるだろうと先から足が進まなくて、先輩に心配される始末。
「西村さん?部長、会議室で待ってるんじゃない?」
「そう、なんですけど…。足が、動かなくて」
「良い知らせだと思うけど」
先輩がそんな笑顔でいられるのは、昇進が確定してるからですよね?ポンと叩かれた肩がさらに重くなり、泣きそうになった。
でも行かなきゃ。上司を待たせるわけにはいかない。覚悟を決めないと。深呼吸をして、会議室の扉を叩く。
「ごめんね、金曜日から何回も呼び出しちゃって」
「いえ、こちらこそ」
金曜日の時とは違い、社長は会議室には居なくて、部長と私だけが机を挟んで座っている。そして、部長はニコニコと何が嬉しいのか、上がった口角が下がらないらしい。