前世での誓い
酔っ払った人たちの遊びだと思っていたけど、目を輝かせた男の人は、顔も赤くないし目もすわっていない。お酒臭もしないから、あの集団の中で唯一のシラフだろう。
唯一まともなはずの人が一番まともじゃないって、この集団大丈夫かな。
「嘘だ…。絶対そうだと思ったのに。本当にお夏さんじゃないんですか?名前に〝なつ〟は付かないですか?」
あからさまに首を折ってがっかりするも、まだ腕を離してくれなくて、質問は続く。私の名前に、確かに〝なつ〟は付く。でもなつさんは探せば沢山居るし、偶然名前が当たった可能性もある。
「なつ、付きますけど…。ごめんなさい、あんまりしつこいと警察呼びますよ?」
私の〝警察〟に、周りの人たちもさすがに焦り始め、引き離してもらえた。まだ質問し足りない様子で口をムッと噤む男性を軽く睨むと、〝ごめんねー〟と酔っ払いたちが騒がしく、男性をもみくちゃにしながら繁華街に消えていった。
華金だからってみんな浮かれて、私も浮かれたかった。浮かれる予定だったのに。