前世での誓い
また1人寂しい夜道に足を戻して、歩き出す。少し先の曲がり角を左に曲がれば、駅が見えてくる。そうすれば少しは人も居るし、気も紛れるかな。そう思って曲がり角に入りかけた時、ふと視界の端に黒い影が映り、それと同時に体が前に思いっきり引っ張られた。
またあの男の人だ。後ろ姿なのに、すぐに分かった。この人は何を思って、私に声をかけてくれたんだろう。そして、引っ張られた腕を見て、不思議と嫌じゃない自分に気づいた。
曲がり角を曲がり切ると、すぐの壁に押しつけられる。初対面の男の人に壁ドンされる状況が理解できず、男の人の胸あたりを強く押すと、簡単に押していた手を離されて、〝静かにしててね〟と小声で言われた。
「はい…」
何故か従順に黙る私もどうかと思うけど、壁ドンされて至近距離で〝静かに〟なんて言われたら、頷くしかない。
いつまでこうしているのか、しばらく経つと先ほど曲がって来た先の道を見て大きくため息をつき、壁ドンは解放された。
「急に変なことして、すみませんでした。酔っ払いから逃げたくて」
「やっぱりシラフなんですね…」